でいご法律事務所
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妻や夫が重大な病気や障害になってしまったらその配偶者としても辛いですけど,
本人も気の毒ですよね。
そうですね。
重大な病気や障害それ自体が5号に該当するとされるのではなく,原告(離婚を求める側)に特に有責性がなく,
看病するなど誠意を尽くしてきたが,それ以上の負担を強いることが酷である場合は離婚が認められやすいと言えます。
なるほど。
具体的にはどんな場合に離婚が認められているのですか?
横浜地裁横須賀支部H5.12.21をご紹介します。
事案の内容:妻は原因不明の脳腫瘍と診断され,自立した生活が困難となり,両親のもとで療養生活を送りはじめ,その後第一級障害認定を受けた。
植物状態のため身体障害者療養施設等に入所し,現在に至る。
回復の可能性はない。
夫は,妻に対して各種治療をこころみ,看護,見舞いなどできる限りのことをしてきたが,婚姻関係を維持することに疑問を持ち始めた。
また夫は,発病以来妻の実家から治療費を立て替えて支払ってもらっていたが,後に全部返済した。
妻は第一級障害認定を受けた後は,医療費はほぼ全額免除となり,障害年金を受けている。夫はその後も,妻の実家に対して平均月5万円以上の仕送りを続けていた。
夫と妻の母との間で,妻の離婚後の療養に対する援助について,夫が一時金として300万円を支払うほか,妻の生存中毎月5万円を支払うことで合意している。
裁判所の判断:妻は植物状態にあり,回復の見込みはない。
夫は,長年,妻のために治療や見舞いなどに誠意を尽くし,治療費の清算も終えて,将来の治療費の負担についても社会保障制度により相当程度の見込みを確保している。
妻が植物状態になってから約4年間を経過したことなど婚姻関係の実体を取り戻す見込みはなく,
妻の離婚後の生活,療養看護については後見監督人である妻の母との間で合意に至り,妻を苛酷な状態に置かない配慮をしめしている。
婚姻関係は破綻したものというべく,その原因は民法770条1項5号(4号の趣旨をも斟酌して)に該当する,として夫の離婚請求を認めました。
奥さんの病気の程度や回復の見込みがないかどうかだけでなく,
旦那さんがこれまで誠実に奥さんの看病などをしてきたか,
奥さんの今後の生活に配慮がされているかも重視されているのですね。
2016年05月20日(金)
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