でいご法律事務所
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取り扱い業務→離婚問題のところに「離婚原因-回復見込みのない強度の精神病」のご説明を掲載しました。
よろしければご一読下さい。
民法770条1項4号が離婚原因としている,
回復見込みのない強度の精神病って具体的にはどういうことですか?
強度の精神病とは,統合失調症,早発性痴ほう症,躁うつ病,偏執病,初老期精神病などの高度の精神病とされています。
アルコール中毒,ヒステリー,神経衰弱症などは含まれないとされていますが,
民法770条1項5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当する可能性はあります。
次に,回復の見込みがないこととは不治という意味ですが,専門医師の鑑定を前提に裁判所が判断します。
回復見込みのない強度の精神病にかかっている夫や妻を相手に,
裁判をすることができるんですか?
夫又は妻が回復見込みのない強度の精神病で離婚訴訟を起こす場合は,まず後見開始決定を得る必要があります。
その後,成年後見人又は成年後見監督人を被告として,訴訟を起こします。
人事訴訟法14条1項:人事に関する訴えの原告又は被告となるべき者が成年被後見人であるときは,その成年後見人は,成年被後見人のために訴え,又は訴えられることができる。
ただし,その成年後見人が当該訴えに係る訴訟の相手方となるときは,この限りでない。
同2項:前項ただし書の場合には,成年後見監督人が,成年被後見人のために訴え,又は訴えられることができる。
この場合,特別代理人の選任によって訴訟を行うことはできません。
民事訴訟法35条1項:法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において,未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は,
遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して,受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。
なるほど。
でも本人は悪くないのに精神病にかかって,
離婚までされちゃうって可哀想な気もするけど…。
裁判例などからすると,離婚が認められる要件として次の点が考慮されています。
A 専門医による科学的判断があること
B 治療が相当に長期であり,今後,回復の見込みがないこと
C 原告(離婚を請求する側)に離婚しなければならない理由があること
D 原告がこれまで誠実に療養,生活の面倒を見てきたこと
E 被告(離婚を請求される側)の今後の療養・生活について,原告が具体的な方策を持っているか,
又は第三者による具体的な方策があること(この要件は緩和されてきている)
単に回復見込みのない強度の精神病にかかっているかどうかだけじゃなくて,
これまで誠実に妻や夫の療養や生活の面倒を見てきたか,
なども考慮されてるんですね。
2016年06月13日(月)
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